そっぽむく女性
ライブへ通ううちに、だんだんとまわりが見えてきました。
ファンといっても色んな人達がいます。
男性、女性はもちろん、
あの人の音楽が好きな人、あの人の人柄が好きな人、
そしてあの人にガチ恋している人達です。
あるとき、他の人のライブに誘われて行きました。
その時に来ていた知り合いに、
この人も〇〇さんのファンの人よと女性を紹介されました。
でも、その女性はわたしに挨拶もせずにそっぽを向いていました。
そういえばあの人のライブで見たことあるなぁ…と思いました。
なんとなくわたしは良い気持ちがせずに、
「あ、そうなんですね。」と知り合いに答えていました。
きっとその女性もわたしをライブで見たことがあり、
ガチ恋勢の匂いを感じて
そっぽを向いたような気がしました。
その女性はあの人の近くに住むために引っ越したと聞きました。
そして、あの人に「この町でいい歯医者さんはない?」など町のことを聞いていました。
噂では合鍵をあの人に渡したとも聞きました。
とても積極的な女性でした。
その後も自分のコネを使い、あの人のライブをセッティングしたりしていました。
わたしはその女性の関わるライブには絶対に行きませんでした。
そして、その女性との関係も根掘り葉掘り聞きませんでした。
プロとして、仕事として接していると信じました。
そうでもなければ気が狂いそうでした。
ある日の隣町のライブの後、その女性も来ていました。
ライブが終わり帰り道に酔っ払いに絡まれたそうで、
ライブハウス戻りあの人に助けを求めたと聞きました。
助けを求めるのは主役で忙しいあの人ではなく、警察に行ったらいいのに!と腹が立ちました。
数年後にわたしがライブを主催することになりました。
そのときに、その女性は婚姻服を思わせる
真っ白な装いで来ました。
とても怖かったです。
赤いバックの女性
もう一人別の女性がいました。
その女性もライブでよく見かけました。
目立つ赤色のバックを持っていました。
そして、いつもクネクネと体をくねらせてライブを観ていました。
そして、酔っぱらうととても大胆になっていました。
酒癖が悪いというか、お酒でなんでも言える、出来るという感じでした。
いつもニコニコというか、ニヤニヤという笑みを浮かべて、クネクネとあの人に近づいていました。
わたしと同じくどこのライブにも来ていました。
あるライブ後に、その会場で打ち上げがありました。
わたしはひとりでその場にいるのはとても緊張するタイプですが、
その日はこの女性もいたので
残ってみようと思い座っていました。三つくらいのテーブルで盛り上がりました。
主役のあの人がわたしのいるテーブルに来ました。女性も来ました。
あの人を真ん中に挟んで数人で談笑しました。
タバコを吸うあの人の灰皿を取り換えると、
その女性も負けじと灰皿を持ってきました。
ムカッとしながらも場の空気を乱さないようにしていました。
夜中過ぎに解散しようとなりました。
そしたら、
女性はあの人に「この後一緒に飲みに行きませんか?」と耳打ちしました。
あの人は「行こうか」と言いました。
わたしは血の気が引くほどショックでした。
二人が歩いていくのをぼーっと見ていました。
まわりの人達が「二人でどこいくのー!?ヒュー!ヒュー!」と面白がって叫んでいました。
あの人は振り返り、みんなに向かっておいで!おいで!一緒に行こう!というジェスチャーをしました。
でも、みんなは「もう帰る!」と帰りました。
わたしは帰るにも電車もなく、はち切れそうな気持と一緒に歩きました。
コンビニに入り、タバコを買いました。
10年禁煙していましたが、買ってしまいました。
何本か吸って気持ちを落ち着かせようとしました。
きっと、今の時間から飲みに行ってホテルへ行くんだと思い絶望しました。
もうライブには行かない、こんなに思ってもこんなことになってしまう、惨めだ。
もうダメだ。と落ち込みました。
ひとりでは耐え切れず、友達に電話をしました。
友達に慰めてもらいました。そして、タクシーで帰宅しました。
(恋心は捨てて、その後もライブには通いました。捨てきれませんでしたが、、、)
数か月経ったころにまたライブの打ち上げでその女性と一緒になりました。
その時もかなり酔っぱらっていました。
二軒目に行こうとなり、何人かで町を歩いて移動しました。
女性はその時もあの人に腕を組みに行き、まわりに人を寄せ付けないようにしていました。
みんなほろ酔いでそんなことはどうでもいいという感じでした。
立ち飲み屋さんでしたのでわたしはあの人の横に立ちました。
もうひとりわたしの友達もあの人の横に立ちました。
女性はよろよろしながらもあの人の横に立とうと割り込んで来ました。
割り込みながらも、酔いが足にきて数回転びました。
転びながらも、あの人の横に来ようとする姿に執念を感じました。
酔っぱらってはあの人にまとわりつく女性に、とうとうあの人は
「いい加減にしろ!」と怒りました。
でも、三軒目へ移動するときに
またあの人に腕組みをしに来ました。
あの人は腕を振りほどきました。
そして女性はとうとうあきらめてどこかへ消えて行きました。
その後、ライブで二度ほど見かけましたが
それ以降は来なくなりました。
古参の女性
その女性はかなり年上でした。
とても美人で、少し気のキツイタイプでした。
昭和の時代、かなりモテただろうなぁと思いました。
SNSでその女性はあの人と写っている写真を何度も投稿していました。
昔からのファンのようでした。
そりゃぁそうですよね。
わたしはまだあの人を知って数か月のとき、
何十年も前からのファン。
もうファンではなく、違う存在かも…
そう思うと、また心が焦げていました。
あるとき、小さな居酒屋であの人のライブがありました。
わたしも参加しました。そしてその女性も参加していました。
休憩時間にあの人とその女性が写真を撮ったりおしゃべりしていたりしました。
わたしは雰囲気や少しのお酒でフワフワとほろ酔いでしたので、
少しの嫉妬はありましたが、席にぽわんと座っていました。
満員の居酒屋で、話を終えたその女性が店内に入って来て、
ビールを頼みました。
そのビールを持って自分の席へ行くときに
わたしの横を通りました。
わざとか?わざとではないか?
わたしのことを知っているのか?知らないのか?
わかりませんが、
わたしにビールがぶつかり、こぼれました。
でも、あやまりもせずに一瞥して自分の席へ行きました。
怖い~!!と思いました。
その女性は昔あの人に恋をしていたようですが叶わず、別の方と結婚されていました。
なので新参者のファンにはちょっとピリピリするようです。
最初はイジワルと思いましたが、数年経ったらとても優しくしていただきました。
魑魅魍魎な女性達
わたしよりも年代がかなり上で
若かりし頃は昭和の時代を謳歌した女性達がたくさんいました。
中には20年近く年下のわたしを転がすなんて
容易いわ!と感じさせる女性もいました。
わたしが数年経ってあの人と仲良くなって来たころです。
その女性からたびたび、
「あの人のことどう思うの?好きなの?」や
「△△ちゃんがあの人と一夜を過ごしたとこないだ言ってたわ、
他にもファンがいるからそんな話はしないほうが良いと言っといたわ。」
など、心がざわざわすることを言ってきます。
そのたびにあの人のことを好きですとは言えず、
怒りとともに心が傷つきました。
水商売も経営されていた女性で、大人の色恋沙汰は海千山千なのでしょうか?
わたしは20年も年齢が下の女性と張り合う自信はありませんが、
探られ、試され、仲良くしたい雰囲気を醸し出しながらも、
わたしの心はざわざわとして、傷ついていき
翻弄されました。
なので、そうっと距離を置いていきました。
地方の女
あの人は地方にもライブへ行くので、
地方地方でたくさんのファンがいます。
その中でもわたしと二つ違いの女性と知り合いました。
サバサバした小柄な美人でした。
気さくに話してくるので、こちらも気さくにやり取りをしていました。
あるときから、探りのメールが来るようになりました。
「あの人には彼女はいるのかな?もしかして、あなたはあの人の彼女?」などでした。
わたしは「奥さんはいてるみたいよ」と答えました。
わたしはあの人の彼女ではなかったですが、出会って数年後には
はかなり仲良くなっていました。
でも実際は仲良くなっただけで、彼女でもなんでもありませんでした。
人見知りのあの人は最初よりもかなり心を開いて接してくれてましたので、
まわりからは彼女かなと勘違いをよくされていた時期でした。
その女性からもモヤモヤとさせられました。
仲良くしようと近づいてくるけど、目的はそれでは無いと感じました。
しつこく「あの人は奥さんとどうなのか?彼女はいるのか?」等聞いてくるので、
「奥さんと別居してるらしいけど一番好きな人って言ってるよ」と答えました。
すると、ニヤッと舌なめずりをして「そうなんだ」と言いました。
その後、折り菓子と手紙が届きました。
「うそをついてごめんなさい。実はあの人が好きです。」と書いてありました。
わたしは折り菓子を捨て、手紙もビリビリに破りました。
その女性の”好き”という気持ちは尊重しますが、
わたしへの近づき方に嫌悪しました。
おわり。
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