わたしの町で
わたしの町でライブがありました。
はじめて生で会える喜びと緊張で毎日ソワソワドキドキしていました。
思いだけは最高潮に盛り上がっています。
いよいよライブが始まりました。
動画で見た様子よりもかなり痩せていました。
あれっ?!と思いましたが、
冷静に考えるとその動画は6~7年前のものでした。
イメージしていた風貌とはかなり違っていましたが、
ライブを観ているうちに、その世界に引き込まれていきました。
ライブ通い
はじめてライブへ行った日からライブ通いが始まりました。
そんなに人の多いライブではなかったので、
すぐに顔を覚えてもらいました。
でも、その人はとても人見知りでした。
そして、わたしもコミュニケーション能力が高いほうではないので
ほとんど話など出来ない状態が長く続きました。
ほんとうにちゃんと話せるようになるまでに
数年かかりました。
だんだん辛くなる
ライブはあると知ると嬉しくなり、気持ちは上がりますが、
ライブが終わるととても辛い気持ちになりました。
一方的にカッコイイところを見せられて
こちらの気持ちはドンドン高揚して
終わったら家に帰る。
そんなことが続きました。
相変わらず会話もできません。
アイコンタクトや、挨拶はあっても
ほかのファンの人達もいるし、
なかなかゆっくり心ゆくまでおしゃべりすることは出来ませんでした。
いつも最前列で
おしゃべりもままならず、
フラストレーションは溜まりましたが、
それをライブで浄化するというサイクルでした。
でも、終わって帰るころには淋しい気持ちも芽生えます。
そのころには自分の中で、
「あの人の記憶に残る人になろう
ライブでいつも笑顔で応援しよう」と決めていました。
ライブ仲間
何度もライブへ足を運んでいたら、
ライブ仲間が出来るようになりました。
「いつも前に座っているね」と話しかけられることも多かったです。
わりと自分の世界に入ってしまうタイプで、
ライブ仲間は要らないなとも思っていましたし、
ライブ仲間が気軽にあの人に話しかけるのを見て、
羨ましく思ったり、
ときには嫉妬してしまうこともありました。
一緒に仲良く輪に入って楽しくしたらいいのに、
なぜか、それが出来ずにいました。
ライブの無い日も
ライブの無い日も頭の中はあの人のことでいっぱいでした。
本当に寝ても覚めても頭の中はあの人のことしか考えられない日々でした。
一瞬一瞬恋の情熱が燃えていました。
録音したあの人の歌を一日中イヤホンで聴いていました。
ライブで会えるのは二時間ほど。
その他の時間は何をしているんだろう?
誰といるんだろう?と思うと、
心が焦げていきまいた。
どうしたらこの恋は成就するんだろう?
どうしたらいいのかな。
どうにもできないのかな。
素直に気持ちを伝えたら良いのかな。
色々考えていました。
ファンレター?ラブレター?
思い切って手紙を書きました。
ライブのときに渡すので、ファンレターなのか?
でも気持ちを書くので、ラブレターなのか?
よくわかりませんでしたが、
毎日溢れてくるこのどうにもならない気持ちを吐き出す?書き出す?
には良い案でした。
便箋と封筒を買いに行きました。
普通のよりも少し高くて、季節感のあるものを購入しました。
紙の質も良くて、自分の気持ちにピッタリだと思いました。
季節ごとに便箋のデザインを変えて購入していました。
選ぶ時間がほっこりと幸せでした。
出会えて嬉しいやライブの感想などを書きました。
自分の連絡先を書くか迷いました。
その後何通も渡したので、どの時点で書いたかは忘れてしまいましたが、
何回かは書いたと思います。
トータルで二年くらい定期的に手紙を渡していましたが、
ライブでしか会うことがなく、
渡してもおしゃべりすることもないので、
いつの間にか渡さなくなりました。
おわり。
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